2012/11/28

イスラエル人、パレスチナ人へのヒヤリング

11月20日、JIPSCはイスラエル並びにパレスチナでなにが起きているのか、過去参加者に安否確認とヒヤリングを行う決定をしました。そして11月21日、一名の過去参加者から日本人へメッセージが送られてきました。この過去参加者はイスラエルに住むパレスチナ人です。

原文をそのまま訳したものを掲載しています。

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ここにいる私たちはみんな家で無力さを感じている。状況を変えるためになにをすることもできないし、それが悔しい。そして私の家族、友達、そして私はみんな無事です。幸運なことに私の家は北にあって、イスラエルの南部や中央部へ飛ばされているロケットや爆発物の届く範囲からは遠いんだ。おかげさまで。
私は全ての亡くなった人々に対してとても悲しく思うし、私たちの心は彼らの家族や友達の心に寄り添っている。そして両方の側での殺人、暴力がすぐに終わるよう祈っている。

 人間...

がお互いにそのようなことを行うことを理解できない。私たちは平和が欲しいだけなのに、すごく悲しい。

 一番最近の「レバノン戦争」で今のイスラエル南部の村々と同じような状況下を経験した。2006年、ヒズボラとIDF(イスラエル国防軍)が戦争になった時、(イスラエルの)北部のアラブの村が一番攻撃された。そして130以上のロケットが私の村に落ちた。その頃は今のようにロケットを打ち落とす技術がなかったんだ。私の人生で一番怖く震え上がった経験は自分の家から50メートルの距離にロケットが当たったのをこの目で見て、それによって2人が怪我をした時のことだ。(幸いなことに死者は出なかった。)だから、イスラエルの人々の気持ちもわかる。ずっと恐怖にさらされ続けるのは耐えられないものだよ。

 でもその一方で、パレスチナ人の血をひく者としてIDF(イスラエル国防軍)によって行われる行動が卑劣でありがちであると認めなければならない。

イスラエルの戦闘機と空軍が行っていることを知れば彼らの側に立つことは難しくなる、特にアラブ人として。ガザ地区に生まれたというだけで女性、子供、そして罪のない民間人の命が軽く扱われるんだ。
 アラブのメディアもイスラエルのメディアも2つの正反対の方法で状況を報じがちだ。それぞれがお互いを悪者として扱う。君も知っているように、私たちイスラエルに暮らすパレスチナ人にとって両方のメディアを開くことができるから本当は何が起きているのか知ることは本当に難しい。でもある面ではIDF(イスラエル国防軍)が変化を起こすことが出来ると信じている。なぜなら、IDFの方がより強くて破壊的だから。殺戮と破壊は止められなければならない。そうでなければ、別の「ガザ戦争」のようになり誰もがどうなるか予言することはできない。

 何が起きているのか知ることは遠く離れたあなた方にとって難しいということはよく分かるし、現地のいろいろな地区に住む人の話から全体像を見ようとすることは素晴らしいアイディアだと思う。ガザの人から話を聞くことは素晴らしいし、戦争の生の情報を得ることになるだろう。もしユダヤ人に聞けば、その人はイスラエルの視点からの話を聞けるだろう。もしアラブ人やパレスチナ人に聞けば全く反対の意見が聞けるだろう。だから両方の側から意見を聞くときには、その情報の発表の仕方を注意しなければいけない。それが理由で、JIPSCのメンバーの仕事はもっと難しくなることも考えられる。みんなは一方では、日本の人々に真実を伝えたいだろうし、もう一方ではメディアが伝える嘘やイスラエルとパレスチナの地元の人々の偏った考え方によって人々を間違った方向に導きたくないだろうと思う。

 もう一度言うけれど、この状況がよくなってすぐに鎮静化することを願っている。なぜなら誰も戦争によって利益を得ることはないし、今のイスラエル人やパレスチナ人が現在置かれているような恐怖にさらされて良い人なんていない。私はいくつかの点で平和に穏やかに、そして安全になればいいと思う、ちょうど日本のように…

2012/11/21

即時停戦と対話を祈って

2012年11月14日、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ地区空爆に端を発した紛争は、現在も刻一刻と激しさを増しています。
ガザでは連日、イスラエル国防軍からの攻撃によって建物が吹き飛び、人々の怒号と救命への努力が続いています。またイスラエルでも、最大の都市テル・アビブにおいて空襲警報が鳴り響き、実際にロケットが着弾しました。

市民を巻き込む暴力の応酬に、私達JIPSCは怒りと無力感を噛み締めています。

当学生会議は200名近くのイスラエル・パレスチナ、そして日本の学生の交流活動を行ってきました。
あるイスラエル人の参加者は、「わたしにはイスラエル軍に徴集される義務があるが、応じるつもりなど全くない。わたしはわたしの良心に従い、兵役の義務に抵抗する」と述べました。
また、パレスチナ人の参加者は「この戦いは誰にとっても得にならない。得をするとすれば一部の政治家だけ。彼らがこの戦争が馬鹿げていると気付くことを祈る」と述べました。
私たちのメンバーだけでなく、当地には武力による相手の撃滅ではなく、対話を通じての共生を望む人々がたくさんいます。

私達は「イスラエル・パレスチナ紛争」が、どちらか一方が悪い・正しいという単純なものではないと考えています。イスラエルの軍事力が圧倒的であり、パレスチナの抵抗が絶望と表裏をなすものであることは事実です。しかし、私達はこの戦闘をどちらか一方の側からみるのではなく、双方の視点と文脈から考えることを方針としてきました。イスラエル人が感じる「テロ」や「ロケット」の恐怖にも、パレスチナ人が感じる「空爆」や「アパルトヘイト」への憤りにも直に触れ、対話を重ねることで相互理解を育んできました。

「いま、わたしたちには何ができるのか」

私達JIPSCでは今回の事件を受けたうえで、「何ができるのか」を考え、議論し、公開していきます。イスラエル・パレスチナの人々の生の声も発信してゆきます。どうかご理解とご支援のほどをよろしくお願いいたします。

対話でしか、道は開けないと信じて。